博古堂
KAMAKURA-BORI HAKKODO

お知らせ(blog)

博古堂のこと

さかのぼること700年、鎌倉は中国からもたらされた禅宗の都として栄えました。
禅宗寺院の仏像の制作のために奈良からきた慶派の仏師達、その末裔が現在の博古堂の当主である後藤家です。

仏師 看板

仏師 看板
鎌倉扇ヶ谷の工房に掲けた看板。鎌倉彫制作開始当初は、「仏師後藤齋宮工場 鎌倉彫製作部」とした。

仏師から

鎌倉時代より、鎌倉扇ケ谷寿福寺門前は仏所として十数軒の仏師が造仏を家業としてまいりました。しかし、その造仏の仕事も明治政府の政策により激減するにつれ、ほとんどは廃業、後藤家も岐路に立たされました。そして後藤齋宮(1838~1908)と後藤運久(1868~1947)は、その技をいかし、古来鎌倉の地で仏師の手により成され、発展してきた鎌倉彫へと大きく舵を切ったのです。運久はシルクロードを好み、盆や正月など仕事の休みのときには奈良京都へも度々足を運び、常に研究を重ねました。

仏師 看板

西遊所録
明治25年頃、運久が奈良や京都の寺を回りスケッチしたものを「西遊所録」として4冊にまとめたもの。室生寺では「天心とフェノロサの次に始めて来た関東人」といわれたそうである。

手刳り盆(てぐりぼん)鳳凰  後藤齋宮作
25×35.5cm 明治15~20年

鎌倉彫へ

明治21年(1888年)、仏師の誇りと技をこめた鎌倉彫に一百年間保証券を発行、翌年、パリ万国博覧会に仏像と鎌倉彫を出品、受賞しました。そして23年第3回内国博覧会出品を期に「鎌倉彫 再興広告」を発行し、その確固たる品質を世に問いました。後藤齋宮52歳、 長男後藤運久22歳、弟の劉慶、久慶、弘慶は、当時のことを「彫って彫っ て彫りぬいた」と記しております。

一百年間保証券

一百年間保証券
塗りの堅牢さをうたい、もしこれに反することがれば、新品と交換するというもの。
2回にわたり2000枚印刷した記録がある。

博古堂の誕生(明治33年1900年)

明治33年、鶴岡八幡宮鳥居脇に店舗を構え、「博古堂」と号します。使うことを考慮した後藤彫りと彫刻を引き立て堅牢な幹口塗り(ひくちぬり)を考案したのもこの頃です。明治38年セントルイス博覧会にはそれまで最多の仏像6点を含む275点を出品、ほとんど売りつくしたと記されております。

後藤運久作  硯箱 秋草

後藤運久作  硯箱 秋草
25.5×22×7cm  明治28年頃

後藤彫りの代表的作例。
使い込んで、葉や花の中央部の高いところは磨り減って中塗りの黒がみえ、雅味がでているが、輪郭部分は朱漆が保たれ、漆がはげた所は見当たらない。

後藤運久作  硯箱 秋草

茶托・銘々皿 古瓦
後藤運久作

縁の欠けた屋根瓦を意匠化したもので、現在も作り続けている。この他、牡丹、桃、菊など。手に取るとどれも軽く、暖かい。

当時、横須賀線の開通により避暑地として賑わった鎌倉は、皇室、政財界人、或いは外国人も多く、そのような顧客に支えられ、鎌倉彫の名は知られるところとなりました。数千枚の下図や木地図面のほか、売上帳、注文帳、買い入れ帳、彫刻部日誌、万博出品目録など和紙に墨書の帳面が十数冊のこされています。

TOURIST掲載記事

博古堂開店当初の注文帳

博古堂開店当初の注文帳
当時の皇族をはじめ、多くの
著名人の注文が記載されている。

後藤運久

TOURIST掲載記事
昭和15年発行の英文冊子TOURISTに紹介された運久。当時の博古堂製品のデザインは運久がすべて手掛けた。

文化人に支えられた株式会社博古堂

大正12年、運久の孫として生まれた俊太郎(1923-2006)は家業を継ぐべく祖父の養子となります。
東京美術学校在学中、松江で終戦を迎えますが、その5日前に鶴岡八幡宮前の店舗は強制疎開で壊されました。昭和22年に先代運久が他界、店舗を再建後、23年株式会社博古堂を立ち上げました。 創立時の株主は村田良策、川喜多かしこ、田辺至、渋江二郎の各氏、増資に際しては大佛次郎、井上禅定、
今日出海、永井龍男、小山富士夫など多くの文化人諸氏の助力を得ています。
俊太郎の椿や柘榴をモチーフにした力強い彫刻は、多くの方々に愛されてきました。

飾り額 椿  後藤俊太郎作

飾り額 椿  後藤俊太郎作
41×50×7cm 1988年

すり鉢状に中央へと彫り下げた中に鎌倉の谷戸の椿を鑿で彫りこんだ。単純化した花の形や葉の表現など、古典の要素を盛り込みながら、新境地を模索した代表作。

現在そして未来へ

手刳り小箱 唐草

平成18年俊太郎他界後、初めての女性現当主後藤圭子は、デザインを通して伝え継がれた博古堂のかたちを大切にするとともに、平成のかたちを提案しています。
堅牢で使いやすいこと、美しいこと、使い込むうちに味わいを増し、使い継がれるほどに手に馴染むもの。そして木彫り漆塗りの表現の可能性を限りなく追求した彫刻作品などなど。
平成19年耐震をかねて店舗を改築、様々な可能性を提案する場としてお客様に支えられ今日があります。

博古堂 店内

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